はじめに
_私たち櫻井研究室は、京都大学iPS細胞研究所の臨床応用研究部門を構成する研究室のひとつです。臨床応用に向けた研究・技術開発を行う部門の中で、私たちの研究室は難治性筋疾患に対する新たな治療法の研究を行います。
_ラボが立ち上がって12年目となり、いくつかの新たな展開がありました。昨年度はiPS細胞由来の間葉系間質細胞とよばれる筋肉をサポートする細胞を移植することで、ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィーモデルマウスに対して治療効果がある事を論文発表しました。筋ジストロフィーには様々な病気が含まれていますが、それぞれの病態に合った治療法を今後も研究していくとともに、動物モデルで成功した例を臨床応用に繋げるための研究も進めます。
_またAMED事業の一つである「疾患特異的iPS細胞の利活用促進・難病研究加速プログラム」の「研究拠点I」における研究活動も順調に進んでおり、その成果として、iPS細胞由来骨格筋幹細胞を起点として成熟化した筋線維をシャーレ上で誘導する技術を5月に論文報告することができました。この方法を起点に筋疾患患者由来iPS細胞を用いた創薬研究が発展するよう、今後も応用例を広げてゆきたいと思います。
_昨年は第7回 日本筋学会学術集会を京都大学百周年時計台記念館で開催することもでき、ようやくこれまでの日常が研究活動においても戻りつつあります。一般の方を対象にした講演やシンポジウムなども企画して、我々の研究成果を分かりやすく伝える活動も再開して行きたいと思います。
_研究内容などに興味がある方は、遠慮なくご連絡ください。
2022年6月 櫻井 英俊